学校の魅力を広くアピールし、学校が求める人材に当てはまる入学者を確保する入試広報は、学校の顔ともいえる存在です。
「マーケティング」という言葉は主にビジネス用語として、企業が自社商品・サービスを多くの顧客にアピールし、売れる仕組みをつくるため調査活動、分析、それらをもとにした商品開発、広告宣伝活動、プロモーションなどを指しますが、学校運営にもマーケティング戦略が重要です。
これまでの入試広報は、受験生向けのパンフレットやチラシ、ポスターなど紙媒体を使った広報活動や、実際に学生に大学へ足を運んでもらうリアルイベントといった手法が主流でした。
しかし、大学の数が増加し、受験生ニーズも多様化する現代においては、インターネット・Webを活用したデジタルマーケティング戦略が非常に重要となってきます。
そこでこの記事では、入試広報のデジタルマーケティング戦略が重要な理由やデジタル化のメリット、デジタルを活用した入試広報のマーケティング戦略手法について詳しく解説します。
入試広報のデジタルマーケティング戦略が重要な理由
インターネットを活用した戦略は、これまでも学生を集めるために有効な試みでした。さらに近年、新型コロナウイルス感染症の影響が拡大していくにつれ、その重要性が高まっています。
ウィズコロナの時代ではこれまで行われていた来校型オーブンキャンパスのようなリアルイベントは実施困難になり、その代わりにデジタルを活用したさまざまな取り組みを多くの大学が行うようになったのです。
そこで、インターネットやSNS、動画などのデジタルツールをうまく活用し、広く集客やプロモーション、ブランディングを行う必要があります。
これまで行われてきたホームページの運用やインターネット広告などの施策に加えて、さらにデジタルの力を有効活用できるSNSや動画コンテンツを活用することで、「学生からの資料請求やオープンキャンパスの申し込みを待つ」という受け身の状態から、デジタルの力を使った積極的な入試広報が行えるようになるでしょう。
入試広報をデジタル化するメリット
インターネットには「時間と場所の制約を受けにくい」「情報の発信・取得ができる」「自動化」「Web独自の表現が行える」などの強みがあります。
これらの強みを持つインターネットを活用したデジタル化には、以下のようなメリットがあります。
- コスト削減につながる
- 双方向のコミュニケーションができる
- データ収集・分析による改善が可能
ここからは、それぞれのメリットについて見ていきましょう。
コスト削減につながる
デジタルで行う施策はかけたコストに対して効果を回収しやすい構造であるため、入試広報をデジタル化することによって、コスト削減効果が期待できます。
入試広報は積み上げ型の連続施策マーケティングであり、継続的に施策を打ち続けますが、このときに重要となるのが全体で得られる効果とコストのバランスです。
デジタルによる施策はLINEやTwitterなどのSNSアカウントによる告知や、セミナーや教育系イベントでの発表、ニュースリリース配信やネットメディア掲載など、費用をかけずに行えるものが数多くあります。
こうして削減したコストをブランドづくりや業務改善などに充てることで、さらに効果的で効率的な入試広報が行えるようになるでしょう。
双方向のコミュニケーションができる
SNSは、双方向のコミュニケーションができることが大きな強みです。
これまでの入試広報は、基本的に一方通行の単発施策で終わるものでした。たとえば、請求された資料の送付などです。資料を送った後は学生からの連絡を待つ状態となり、コミュニケーションを取ることができません。
一方、インターネットを活用したツールを使えば、学生とのコミュニケーションが可能です。LINEでのやり取り・チャットボット・オンライン相談、Webオープンキャンパスによって学生とコミュニケーションを取ることで、志願者をつなぎとめたり、志望意欲の低い学生にもさまざまな方法によってアプローチができるようになります。
また、ウェブサイト上での行動履歴の収集も情報発信・取得という観点から見ればコミュニケーションのひとつです。
データ収集・分析による改善が可能
インターネットを活用した施策の場合、集めたデータの分析や活用がしやすいこともメリットです。
行った施策の結果が数字として現れるため、反応があった施策、学生の傾向や問題点などさまざまなデータを多角的に分析することで施策をよりよいものに改善してくことができるでしょう。
収集した学生の興味関心などの情報を活用することで、今後の戦略や施策の立案にも役立てられます。
入試広報のデジタルマーケティング戦略
これからの入試広報では、デジタルマーケティング戦略が欠かせないものとなっていくでしょう。ここでは、代表的な入試広報のデジタルマーケティング戦略といえるものをいくつかご紹介します。
ホームページの運用
まず挙げられるのが、ホームページの運用です。これは大学が運営するWebサイトのことで、いわゆる「オウンドメディア」と呼ばれるものです。
近年はほとんどの大学がホームページを作っていますが「サイトの構造がわかりにくく、学生が欲しい情報を得られないままサイトを離脱してしまう」「十分に大学の魅力をアピールできていない」「更新がされず情報が古いままになっている」状態のままでは、高い効果を得るのは難しくなってしまいます。
定期的に新着情報をお知らせに追加したり、開催期間の終わったイベント情報は削除もしくは「開催終了」などと書いたり、ホームページにアクセスした人が「もっとこの大学のことを知りたい!」と思えるように運用する必要があります。
ホームページに掲載する情報としては「初期認知層の興味関心をひきやすいカジュアルな情報」「比較検討している層にアピールする更新性の高いメイン情報」「志望意欲の高い層に訴えかける特別な情報」の3つで構成すると良いでしょう。
デザインやシステムが古くなっていると感じる場合は、ホームページのリニューアルを検討するのもひとつの方法です。
SNS運用
現在は、多くの場面でSNSが活用されています。広く普及し拡散性の高いSNSを入試広報に活用すれば、新しい情報を効率的に受験生に届けることが可能です。
SNSはテキストだけではなく画像や動画をアップロードできるため、魅力を伝えやすいことが特徴です。学生に投稿してもらうのもいいでしょう。
主流のSNSとしては、TwitterやInstagram、LINE、Facebook、YouTubeなどがあります。それぞれのSNSに特徴があるため、行いたい施策や目的に合わせて最適なものを選択するといいでしょう。基本的にはこれらのSNSはすべて無料で利用できるため、費用がかからないこともメリットです。
一度にいくつものツールを使うと管理が行き届かなくなる可能性があるため、最初は一つに絞って運用したり、数人で振り分けしたりしてみるといいでしょう。
インターネット広告
現代の高校生は、生まれたときから当たり前にインターネットがあった世代です。入試広報でも、インターネット広告が使われることが多くなってきています。
内閣府が公表した「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(速報)」の青少年のインターネットの利用状況では、高校生の99.1%がインターネットを利用していると回答。インターネット広告は、学生にアピールする手段として非常に有効な手段なのです。
インターネット広告を配信する際には、大学が伝えたいことを伝えるだけではなく「受験生が求めている情報を伝える」ということを意識することがポイントです。
動画などのWeb独自コンテンツ
紙媒体では行えない、Web独自のコンテンツを使った戦略も有効です。中でも代表的なものが動画で、テキストのみのコンテンツに比べ、伝えたい情報をよりわかりやすく、より魅力的に伝えることができます。
実際のオープンキャンパスや相談会の様子などを動画で発信すれば、学生はより大学の雰囲気や魅力をリアルに感じ取ることができるでしょう。
近年は現代の若者に合わせた動画制作が行われており、同じテーマでも1分以内の短い動画と5分前後の長い動画を2種類用意し、シーンに応じて使い分けなどがされています。
入試広報のデジタルマーケティング戦略のポイント
ここからは、入試広報のデジタルマーケティング戦略のポイントをご紹介します。
カレンダーの作成
最初に、年間のデジタルマーケティングのカレンダーを作りましょう。
入試広報では年間の戦略スケジュールを立てると思いますが、これに沿ってデジタルマーケティングのカレンダーを作成しておくことで、スムーズな流れで施策が行えるようになります。
どういったことを1年間で実施するべきか、それらをどの時期にどれくらいの頻度で実施するか戦略を立てることも、重要なことの一つです。
差別化の明文化
他の学校との差別化ポイントを明文化し、ホームページやインターネット広告に、インパクトのあるキャッチコピーを掲載しましょう。商品やサービスを印象づけるためにキャッチコピーや耳に残る音楽を利用しているケースは多く見られます。
「この大学に入りたい!」と思えるようなキャッチコピーを作成することで学生を惹き付けることができるでしょう。
魅力的なキャッチコピーを作ることは他の学校との差別化にもつながり、受験生から注目されやすくなる効果が期待できます。
まとめ
近年では入試広報においてもデジタルマーケティング戦略の需要が加速しています。デジタルを活用し、より費用対効果の高い施策を行っていきましょう。
『入試広報戦略LABO』では、WebサイトやLPサイト制作、Web広告や動画デジタル広告、SNSの分析や戦略的な運用などを行い、多くの学校の魅力を「見える化」して、選ばれる学校づくりに貢献しています。
入試広報のデジタルマーケティング戦略の立案や実行などコンサルティングも可能ですので「志願者や入学者のデータを見ても具体的に何をすればいいかわからない」「デジタルマーケティング戦略の立案設計から手伝って欲しい」などのお悩みがありましたらぜひ『入試広報戦略LABO』にご相談・お問い合わせください。
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