「入試広報に力を入れているが、効果が出なくて悩んでいる」「受験生を集める効果的な方法や事例を知りたい」
そのような悩みを抱えている広報担当者の方も多いのではないでしょうか。
少子化や18歳人口の減少が深刻化している日本において、従来の入試広報のやり方で集客し続けることは困難といえます。時代の流れや高校生のニーズにあわせて活動方法も変えていく必要があるでしょう。
この記事では入試広報の内容で悩んでいる教育機関の関係者に向けて、これからの入試広報に求められることや広報活動で重要なポイントを解説します。最後まで読めば他の教育機関がどんな取り組みを行っているかもわかりますので、ぜひご覧ください。
これからの入試広報に求められること
これからの入試広報は各学生のニーズにあったタイミングを考え、必要な情報を届けていく戦略が求められます。
従来の入試広報では大学や専門学校側で積極的に広報を行わないケースも多く見られました。学生からの資料請求やオープンキャンパスの参加を待つなど、どちらかと言えば受け身のスタンスだったのです。しかし、近年は18歳人口の減少やコロナ禍による動向の変化もあり、これまでと同じ方法で入学者を獲得するのは難しくなっています。
また現代の高校生は教育機関の公式サイトだけでなく、SNSやYouTubeなどさまざまな発信源から情報を収集しています。そのため、高校生が本当に欲しい情報や求めていることを正確に読み取った上でコンテンツを作成し、さまざまなツールを活用して大学や専門学校への興味を持ち続けてもらえるようにすることが重要です。
次から入試広報を行うときに取り入れるべきポイントを解説しています。ぜひ続けてご覧ください。
入試広報を行うときに重要な4つのポイント
入試広報を行うときに重要な4つのポイントを解説します。
①高校生との接触頻度を増やす
まずは高校生と接触できる機会を作り、その頻度を増やしていくことを考えましょう。
高校生が資料を請求するときは「とりあえず情報を集めて比較検討したい」段階で、志望意欲は低いといえます。実際にオープンキャンパスに参加して校内の環境を知ることで、「ここに入学したい」と意欲が上がるケースがほとんどです。つまり実際にキャンパスへ足を運んでもらう段階までつなげるには、接触頻度を増やすことが重要になります。
具体的には次のような方法があります。
・Twitterで「#大学生の日常」のようなハッシュタグを使い、目に留まりやすくする
・SNSやWeb広告でアピールし、公式サイトの記事へ誘導する
・SNSのフォローやLINEの友達登録を促し、定期的に情報発信して見てもらう
上記の方法で興味を示してくれた学生にはオープンキャンパスへの参加を促したり、プロモーション動画を紹介したりとさらに踏み込んだ情報を配信するとよいでしょう。
②入学後の生活をイメージしやすいコンテンツを作成する
高校生が「その大学や専門学校に通っている自分」をイメージしやすくなるようなコンテンツを作りましょう。パンフレットを見るだけではわからない大学の魅力を伝えられれば、志望意欲を育てることにつながります。
例えば以下のようなコンテンツが挙げられます。
・在学生が取り組んでいる研究活動をインタビューした記事
・イベントやオープンキャンパスの様子を撮影した動画
またコンテンツを作成する際は文字数や尺の長さ、見せ方を考慮することも重要です。例えば成城大学のYouTubeチャンネルでは「成城大学早わかりショートムービー」として30秒程度の紹介動画をアップしています。なかには100万回以上再生されているものも。シンプルなアニメーションや文章でテンポよく構成されているのが特徴です。視聴者に「どんな大学か」をしっかりと伝えつつ、飽きさせないような工夫がされています。
「高校生にとって大学や専門学校は未知の場所」という認識を持った上で、より入学後の生活を想像してもらいやすいコンテンツを作成してみてください。
③受験生の視点を取り入れる
受験生の立場になって情報設計をすることも、重要なポイントの一つです。
「大学や専門学校側がアピールしたい情報=受験生が求めている情報」になるとは限りません。教育機関に関する情報には専攻分野やカリキュラム、雰囲気などさまざまなものがあります。そのなかで高校生が何を重視するかは、各教育機関の特性によって異なります。また志望校を検討する時期によっても変わってくるでしょう。
受験生の視点を取り入れるのにおすすめの方法が、在学生に協力してもらうことです。高校生と年齢が近いため、興味を持っているものや受験生のときに知りたかった情報を盛り込みやすくなります。
例えば茨城大学のYouTubeチャンネルでは、在学生が大学について紹介する動画もアップされています。キャンパスの近くにあるスーパーや病院を始め、どんなアパートに住んでいるか、何のアルバイトをしながら生活しているかまで語られているのが特徴。「この大学に通うとどんな生活を送ることになるのだろう」という疑問が解消されるので、有効な方法といえるでしょう。
また事前に受験生や在学生にアンケート調査をして、どんな基準で自校を選んでいるかを知ることも大切です。その結果がそのまま強みとなるので、重点的にアピールしていくとよいでしょう。例えば「アクティブラーニングなどを取り入れた教育や実学が強み」なら、その取り組みを積極的に広報していくなどです。
④施策の効果を測定する
入試広報の効果を測定することで、活動が成功したかどうかを客観的に判断できます。また上手くいかなかった場合も、データを分析して原因や問題点を調べることが可能です。「いろいろな施策を実施したが、コストや負担ばかりかかってしまった」という事態を防げるでしょう。
効果を測定するには、GoogleアナリティクスやYouTubeスタジオなどのツールを活用することをおすすめします。例えばGoogleアナリティクスを使用すると、以下のようなことがわかります。
・記事のアクセス数
・何を経由してサイトへ訪れたか
・どのデバイスで閲覧されたか
・最終的にどんなアクションを起こしたか
上記のような情報を収集することで、訪問者の関心や興味を分析できます。「この研究室について書かれた記事のアクセス数が高いから、次はもっと具体的に説明する内容にしてみよう」など、今後の方針に役立てられるでしょう。
入試広報の事例を紹介
教育機関が実際にどんな入試広報活動を行っているか気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは2つの事例をご紹介します。
事例①:オウンドメディアで多様な情報を発信「早稲田大学」
早稲田大学は、学生向け広報誌「早稲田ウィークリー」を2016年4月からWebへ移行しました。在学生の活躍や学生生活の紹介、教授のコラムなど多様なテーマで発信しています。特徴的なのは、自校のPRだけでなく社会性のあるニュースも発信している点です。ニュースサイトやキュレーションサイトで取り上げられる可能性が高くなるため、その大学のサイトにアクセスする人が増えます。最終的に大学自体のファンも増える、という効果的な流れを実現しているのです。
ただし、オウンドメディアで成功するかどうかは大学や専門学校の規模にもよります。学生数が多く全国的に見ても規模の大きな大学なら、多様な情報を掲載することがメリットにつながるでしょう。しかし、小中規模の教育機関が同じことをしても、同等の効果を得られる可能性は低いです。そのためオウンドメディアを構築したい場合は、規模を踏まえて検討する必要があるでしょう。
事例②:複数のSNSで学生向け情報を配信「近畿大学」
近畿大学は「Twitter」「Instagram」「YouTube」「Facebook」「LINE@」など複数のツールを活用し、大学の情報発信や高校生との接点づくりを行っています。「LINE@」で友だち追加すると、オープンキャンパスや入試対策講座など受験生に役立つ情報が手に入るようになっています。さらにオープンキャンパスで利用できるお得なクーポンも配信されており、高校生の視点を考慮した取り組みといえるでしょう。
特にLINEの場合は、チャットボットなどの連携ツールも利用するのがおすすめです。高校生が大学に抱いている疑問や悩みなどを自動応答で解決できます。学生側もスムーズに情報収集できる上、運用担当者の負担も軽減できるというメリットがあります。
まとめ
今回は大学や専門学校における入試広報の重要なポイントや、実際の事例について解説してきました。
これからの時代の入試広報では、高校生のニーズを的確に読み取り、興味や関心の度合いにあわせた戦略が必要になります。パンフレットの請求を待つスタンスから脱却し、積極的に情報発信していくようにしましょう。
具体的には、下記の4つのポイントを押さえることをおすすめします。
①高校生との接触頻度を増やす
②入学後の生活をイメージしやすいコンテンツを作成する
③受験生の視点を取り入れる
④施策の効果を測定する
まずはSNSなどで定期的に情報を提供し、高校生とつながる機会を増やしましょう。公式サイト上にはインタビュー記事やキャンパス内を撮影した動画などを掲載し、具体的なイメージが湧きやすいようにします。さらに在学生の意見を取り入れることで、より高校生に求められやすい情報を発信できるようになるでしょう。一つの施策を行ったあとは、必ず効果を測定して次に活かしてください。
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